「うっ、すみませんでした」

「冗談だよ。今日来れてよかったね」

「はい、なんとかなってよかったです!」



そんな彼らを横目に私と秋華は2人で写真を撮る。

白と黒で対象的な色だから、写真撮ったら映えるな〜。



「風夏、朝顔似合う」

「ありがとう。秋華もいいねその柄、被らないし綺麗」



お互いを褒め合ったら、秋華は自分の浴衣の柄を見て何か考えている様子。

すると冬斗くんを見て口を開いた。



「冬斗、そういえばなんでこの柄にしたの?」

「あやめの花言葉がいいなって思ったから」

「花言葉?」



秋華は首を傾げる。

冬斗くんはそんな秋華の前に立つと優しく笑った。



「白いあやめの花言葉は『あなたを大切にします』。
それを知った時、絶対これにしようって思った」



その花言葉を知ってから『絶対白がいい』って決めた冬斗くん。

でも白いあやめの柄がなかったから苦労したっけ。



「秋華のこと大切にするから、秋華もその浴衣大事にして。
それで大人になった時、もっかいそれ着てデートしよ」

「なにそれ……」


何も考えてないように見えて、しっかり将来を考えてる冬斗くん。

思いもよらない告白だったのか、秋華は口を手で押さえてふらりと人混みに紛れる。

潤んだ目で瞬きして、耳まで真っ赤にして。



「あ、秋華照れちゃった!?待って!」



そのまま2人は行方を眩ませた。

良かったね冬斗くん、秋華めちゃくちゃ喜んでくれたじゃん。

青春だ!と、笑みを抑えきれなくて口角が上がってしまった。