「春臣くんは経済学部でしたっけ」

「そうそう、よく覚えてたね。
……あいつ悪いヤツじゃないんだけど、ごめんね」

「大丈夫ですよ、罵倒されるのは慣れてます!」

「……え」



なんだか元彼を彷彿として口が滑った。

春臣くんは自虐した私を見てドン引きしている。

しまった、フォローしにくいこと言っちゃった!



「あ、そんなことより、昨日いただいたタルトおいしかったです!」

「……ああ、食べたんだ。それはよかった」



無理やり話題を変換したけど、春臣くんはそれ以上詮索してこなかった。

よかった、春臣くん気遣いのできる人で。



「……風夏ちゃん、今日の夜ご飯何するの?」

「決めてないです。1人だから家にある冷凍食品でいいかなー」

「じゃあさ、行きたいお店があるんだけど一緒に来てくれない?」



うまく話題変換して、私を誘ってくれる春臣くん。

どうして私を誘ってくれるんだろう。

……春臣くんに似合うもっと綺麗な人、いっぱいいるはずなのに。