「なんで?かわいいのに」

「俺はタイプじゃない」



はぁ!?あんたのタイプとか知らないし。

こんなの秋華が聞いたら『私の友達バカにすんな!』殴ってるところだ。

空手を習ってる秋華のパンチは痛いらしい。

例え屈強なこの男でもひとたまりもないだろう。

……という妄想でなんとか怒りを乗り切った。



「別に隼のタイプは聞いてない」

「あっそ、今度は浮気しない女だといいな」

「風夏ちゃんは大丈夫だって、会って分かっただろ」

「とにかく、俺はもうやけ酒に付き合うのこりごりだからな」

「……」



だけど春臣くんはうまく消化できなかったみたいで唇を尖らせてシュンを見る。

何その顔、怒ってるにしてはかわい過ぎる。

新たな表情を知って、おかげで一気に怒りが吹き飛んだ。



「えっと、今のお方は?」

「村田隼、高校からの友達で同じ学部」



ムラタシュン、ね。春臣くんの友達なら一応覚えておこう。

俺様な感じが癪に触るけど……イケメンだった。

まあ、イケメンだからってなんでも許されるわけじゃないけど。