「分かりません、こっちが聞きたいです」

「お前あいつのこと好き?」

「なんであなたに言わなきゃならないんですか?」

「……」



目的が分からなくて一定の距離を保って後ずさり。

誰なのこの人、怖いよ!



(しゅん)、何してんの?」



その時、春臣くんの声がしてシュンと呼ばれたその人は立ち止まった。

はあ、助かった。春臣くんナイスタイミング!



「あ、風夏ちゃん。来てくれたんだ、ありがと」



でもまだ17時前だ。バイトは終わったのかな。



「いえ、こちらこそ。
……あれ、春臣くん。今日17時までって言ってませんでしたっけ」

「早く終わったから帰ることにした。風夏ちゃん来るの早かったね」

「広くて迷子になるかもしれないと思って早めに来ました」

「そっか」



慣れない場所で変な人にからわれて大変だったけど、春臣くんに会えて安心した。

だけどシュンと呼ばれた人が距離を縮めてきて、私はビビって春臣くんの後ろに隠れた。