ショックを受けて肩を落とす秋華。

冬斗くんも落ち込んでるだろうな。

せっかく秋華のために浴衣買ったのに。

背が高い秋華に似合う大人っぽい浴衣。

あやめの花をモチーフにした黒地の浴衣。帯は深緑で上品な感じ。

冬斗くん、しっかりあやめの花言葉まで調べたのにそれはあんまりだ。



「一応進学校だからって腹立つ」

「ね、先生私たちに恨みでもあるのかな」

「とにかくお願い風夏、勉強教えてください」



両手を合わせて懇願されたけど、任せてとは言えない。

私も数学は平均点ギリギリ上だから教えられるほど勉強できてない。



「数学は苦手なんだよね……」

「ごめん知ってて聞いた。
ねえ、春臣さんって家庭教師してるとか言ってなかった?」



そう言えば春臣くん、数学と英語はよく依頼が来るって言ってたような。



「そうだけど、まさか!?」