「何?」


冬斗くんが相談ってことは秋華絡みだな。

ニヤッと笑って了解すると冬斗くんは近づいてきて耳元で呟いた。



「……秋華の浴衣姿が見たいんだけど持ってないらしくて。
だからプレゼントしようかなって」



く〜、甘酸っぱい。やっぱかわいいなこのカップル。

青春じゃーん!とからかいたい気持ちを抑えて親指を立てる。



「いいと思う」

「どれが似合うか一緒に探してくれない?」

「探す!全力で探す!わたしも浴衣姿見たい!」



だけど秋華の浴衣姿を想像すると楽しみすぎて興奮してしまった。

よかったね秋華、マジでいい彼氏じゃん。



「ふふ、愛されてるなぁ秋華」

「何がぁ?」



ふと後ろから聞こえた声。

振り返ると少し機嫌悪そうな秋華がいた。

あれ、どうしたの。



「ふふ、ノロケ聞いちゃった〜」

「えー?また風夏に話聞いてもらってんの?」

「えへへ」



照れくさそうに笑う冬斗くん。

しかし次の瞬間、秋華に両頬を引っ張られて笑顔が崩れた。



「いててて!何!?」

「笑い事じゃないんだけど。教室に来てって言ったのあんたじゃん。
いない上に冬斗の友達に絡まれたんですけど。最悪」

「ごめんね秋華ちゃん」

「その顔、いつまでも通用すると思わないでね」

「ごめんなさい」



頬を離された冬斗くんは渾身のかわいい顔で許しを乞う。

しかし、逆効果だったらしく怒られてた。

その様子はさながら飼い主と犬。

この2人の絡みはいつまでも見てられる。

冬斗くんには可哀想だけどおかしくて笑ってしまった。