「わー、桜が綺麗!」



30分ほど車を走らせると、川沿いに桜が満開に咲いているのを見かけた。



「あそこ、寄ってみる?」

「はい、行きたいです!」



近くのパーキングに車を停めてそこまで歩く。

歩きながら今いる場所についてネットで調べると、隠れた桜の名所と書いてあった。

偶然来れたなんてラッキー。



「春臣くん、満開ですよ!すごいですね」



桜の木の下で春臣くんに笑いかける。

足元の花びらがじゅうたんみたいで綺麗。



「風夏ちゃん」



ふと呼ばれて顔を上げたら、春臣くんも笑ってる。

だけどどこか切ない笑みだった。



「風夏ちゃんは……どんどん綺麗になるね」

「ありがとうございます……?」

「俺、ちょっと不安」



最近はこうやってちゃんと不満を吐き出してくれる。

不安になってるところ申し訳ないけど、信頼されてるみたいで私は嬉しい。

不安をかき消すために、精一杯の笑顔を添えて春臣くんの手を握った。