「ねえ、あれそうだよね…」

「え、春臣くん!?」



笑いあっていると2人組の女の子がこっちを見てはしゃいでいる。

あー、春臣くんのファンかな。

あの掲示板事件が起きてから、春臣くんはインスタのアカウントを削除した。

その代わり、バイトをしているブランドのアカウントに春臣くんの写真が投稿されるようになった。

おかげでそのアカウントは、春臣くんがアカウントを消した直後5000人もフォロワーが増えた。



「こんなところで会えると思わなかった〜!」

「ねえ、どうする?声かける!?」



はしゃぐ女の子たちを遠目に見ながら思い出す。

春臣くんはアカウントを消す前日、私のことについて話していた。

自分には彼女がいること、その彼女が誹謗中傷されていること。

そのことを踏まえ『明日このアカウントを消します』と投稿した。

すると批判が来るどころか賞賛の嵐。

“イケメン大学生”から“彼女を大事にするいい男”として株が爆上がりして人気に火がついた。

よってブランドの公式アカウントはフォロワーが爆発的に増えて朔さんは喜んでいた。