春臣くんは私が座っていたベンチに座ってコーヒーを飲み出した。

私も新作のイチゴをゴクリとひと口。



「あ、めっちゃイチゴ!香料のイチゴじゃなくて本物のイチゴの味と香りだ。贅沢ですねコレ。
後味もスッキリでおいしい!」

「出た、かわいい」



お馴染みの食リポを聞いて春臣くんはニヤッと笑う。

「だっておいしいですよ、ひと口飲みます?」と差し出したら、春臣くんはそれを受け取らずに私の頭に手を伸ばした。



「ん?」

「花びらついてた」

「その花びら、縁起よさそうなのでください。受験生だし」



私の頭についていた桜の花びら。

落ちない花びらって縁起良さそうだ。

春臣くんから受け取ってとりあえずお財布に入れる。



「そっか、今年受験生か」

「そうなんですよ、頑張ります」

「俺と同じ大学行きたいんだっけ?」

「はい、道のりは遠いけど頑張ります」



ぐっと拳を固めると春臣くんは頭をポンポンなでる。



「頑張りすぎないでね、勉強なら教えるから」

「……春臣くんは優しいですね」

「風夏ちゃんが俺のこと大事にしてくれるからだよ。
一生懸命尽くしてくれるから俺も誠意を見せないと」



春臣くんは尽くすクセがあるから少し心配。

そう思ってたけど、案外お互いさまだったみたい。

なんだかんだ私たち似てるのかも。