「お邪魔します。お久しぶりです、約束通り焼いてきました」

「嬉しいありがとう……えっ、ホールで焼いてきてくれたの?」



春臣くんの実家に向かうと、春臣ママは紅茶を淹れながら私が持ってる箱の大きさを見て固まった。

ダイニングテーブルにそれを置いて箱を開けると、お母さんは言葉を失って固まった。

だけど目はウチのお父さんみたいにキラキラしてる。

おっ、すごくいいリアクション。

やっぱり春臣ママかわいいな。



「すごい……想像以上に本格的だった」

「風夏ちゃんのお父さん、結婚式場の副料理長だからね」



そうそう、お父さん最近副料理長になったらしい。

だから忙しいって言ってたんだよね。



「どこの式場?」



春臣ママはきょとんとした顔で首を傾げる。

スーツじゃないし髪下ろしてるから雰囲気違う。

改めて綺麗な人だなと思いながらお父さんが働いている式場を答えた。



「え……そこ、私たちが式を上げたところ」



すると衝撃の事実が発覚した。

お父さんが務めてる式場で春臣くんの両親は式を上げたらしい。

こんなところでご縁があるなんて、やっぱり人生何が起こるか分からない。