君がかわいいと言うから

「風夏ちゃんはすごいよね」



玄関のドアが閉まる音がした後、春臣くんは音のした方を眺めて呟いた。



「風夏ちゃんがきっかけで、止まった時間が動き出したみたいに母さんと話せるようになった」

「それは春臣くんの気の持ちようってやつですよ。私は何もしてません」

「ううん、全部風夏ちゃんのおかげ」



耳元でささやいて後ろから抱きついてきた春臣くん。

耳がくすぐったくて振り返ると、後ろからキスをしてきた。



「んんっ……」



付き合って半年経つけどキスにはまだ慣れない。

春臣くんは慣れてきたっていうけど、心臓はずっとドキドキしっぱなし。



「風夏ちゃん、あっためて」

「ひっ、冷た……!」



今日はさらに服の中に手を入れてきた。

じっとしていられない冷たさに身体をねじって逃げようとする。

だけど逆にキスしやすいように回転させられて逃げ場を失った。