今日は春臣くんの実家でご飯を作る日。

ハンバーグが食べたいそうなので今日使う食材は買ってきてもらった。

でも作り置きもしたいから、家から持ってきた食材を持って春臣くんの家にお邪魔する。



「よいしょ、お邪魔しまーす」



春臣くんはバイトだからいないけど一応挨拶して家に入る。

事前にもらってた合鍵をついに使う時がきた。

ふふ、合鍵持ってるって、いかにも彼女って感じ。



「いらっしゃい」

「……へぇ!?」



ニヤニヤしながらリビングに入ったら、女の人の声が聞こえた。

心霊現象的な何かと思って驚いたら、ダイニングテーブルにスーツ姿の女性が座っていた。

えっ、どちらさま!?



「こんにちは」

「こ、こんにちは!」



挨拶したからとっさに返したけど声が裏返っちゃった。

だって人がいるとは思ってなかったから。



「初めまして、春臣の母です」



その人はすました顔で立ち上がり、頭を深く下げる。

ああっ!春臣くんのお母さんでしたか!

道理で美人だと思った。