「もう二度と恋なんてしない」

「はぁ、何回聞いたことか、そのセリフ」



昼休み、イスに座って黒板を見つめながら呆然と呟いた。

一緒の机でご飯を食べようとしていた友達の秋華(しゅうか)は、それを聞いて呆れている。



「だぁーってさ!夢見ちゃったんだもん。朝から気分最悪よぉ」

「そうだとしても急に真顔で独り言なんて頭おかしいから」

「……ごもっともです」



ツッコミを受け、とりあえずご飯を食べようとランチバックを開けた。



「あんた、そんなに食べるの!?」



ところが秋華は出した昼食の量に驚いた。

お母さんが作ってくれたお弁当と、購買で買ったパンと、コンビニで買ったお菓子たち。



「どうせ私はこの体型だからいいの。多少太っても変わらん。
ほれアメちゃんどうぞ」

「大阪のおばちゃんかよ……。
あと何回も言うけどさ、風夏はブスじゃないしデブじゃないから、気にしなくていいよ」

「それをスレンダーな秋華ちゃんに言われても」



そういってスタイル抜群の秋華を上から下まで観察。

秋華は鼻が高くスッキリとした顔の背の高い美人。

中肉中背で最近お腹がぽっこり出始めた私とは大違い。

と、思いながらお弁当からではなくお菓子から封を切ってしまった。



「やさぐれてる……」

「ええ、今朝の夢のせいで自尊心はボロボロですよ」



そう言って足を組み、じゃがりこをバキッと歯でへし折るように食べた。