「冬のキャンプもいいね」

「そうか、冬に連れてくるのは初めてだな」



都会では考えられないほど静かな夜。

冬だから虫の声も聞こえなくて、パチパチと燃える焚き火の音だけが響く。



「焚き火で焼きマシュマロするのが夢だったの」

「うんうん、たらふく食べたらいいさ」



そんな中、ガサゴソとマシュマロの入った袋を漁る私はロマンチックの欠片もない。

だけどお父さんは嬉しそうに笑う。

炎がだんだん弱まってきたからいい感じ。

早速焼き串に刺してマシュマロをゆっくりくるくる回す。

すぐに表面がカリカリになって来たからかじりついた。



「んふふっ、サクサクふわふわ〜!焦げたところがカラメルみたいでおいしい!」



喋りながらもぐもぐ食べると、お父さんはどこか悲しげに笑った。



「……昔、食べる時くらい静かにしろって注意したの覚えてるか」

「ん?覚えてるよ」

「あの時はあんなこと言ってごめんな。
今は風夏のその嬉しそうな顔と食リポが聞けないとなると……もうすでに泣きそう」

「泣きそうって言うか……泣いてるよお父さん」



昔を思い出して顔をしわくちゃにしながら涙をこらえるお父さん。

どうしたのお父さん、情緒不安定?