「お父さんが、今訴えられると困るって……会社がやっと軌道に乗ったところだから」

「それは俺には関係ない」

「じゃないと私、家を追い出されちゃう」

「で、何が言いたいの?」



リサなりに必死になってるみたいだけど今更遅い。

まさか、許してもらえると思ってる?



「ごめんなさい!」

「謝る相手が違うよね」

「その、あの子にも謝るから、取り下げてもらえることって……」

「二度と風夏ちゃんに危害を加えないって約束する?」

「する、絶対するから!」



泣きながら必死に許しを乞うリサ。

泣いてるのに何も感じないから、本当に興味もないんだとどこか客観的に感じた。



「分かった」

「じゃあ……」

「なんて、嘘つきな人間を信用すると思う?」

「……え?」



期待したリサの顔を一瞬にして絶望に変わる。

可哀想とは思わない。それだけのことをしたって自覚するべきだ。



「喧嘩売る相手間違えたね」



最後に笑いかけると、リサはその場に呆然と立ち尽くしていた。

さて、あの様子だと当分悪さをすることはないだろう。

どこぞの企業で社長をしている父親にもこっぴどく叱られたみたいだし。

やり過ぎだとか、ひどいとか言われようがこれでいい。

俺には風夏ちゃんさえいてくれたらそれでいいから。