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20時過ぎ、風夏ちゃんを家に送って実家に戻る。
車庫に車を入れてドアを開けると、誰かに呼ばれた気がして振り返る。
「はるくん!」
聞き覚えのある声、甘ったるい匂い。
そこにいたのは元カノのリサだった。
顔を真っ赤にしてる様子からして、かなり前から張ってたみたいだけど同情のカケラもない。
「わざわざ待ち伏せしてるなんてご苦労さま」
自分でも驚くほど冷たい声が口から出る。
リサはビクッと肩を震わせて後ずさり。
だけど引けない理由があるのか、口を開いた。
「ねえ、何かの間違いだよね」
「何が?」
「……家に、情報開示請求が届いて」
「ああ、やっぱりリサだったんだ」
リサの実家に届いたのはおそらく『発信者情報開示請求に係る意見照会書』。
ネットの掲示板で風夏ちゃんを中傷していた人物の個人情報を開示するために、発信者本人に送られる書類。
情報を公開することを拒否することもできるけど、つい最近まで誹謗中傷の投稿をしてたから身元を割り当てるのは簡単だ。
そう思っていたのに自分から来るなんて。
切羽詰ってるか、よほど愚かなのかのどっちかだ。
20時過ぎ、風夏ちゃんを家に送って実家に戻る。
車庫に車を入れてドアを開けると、誰かに呼ばれた気がして振り返る。
「はるくん!」
聞き覚えのある声、甘ったるい匂い。
そこにいたのは元カノのリサだった。
顔を真っ赤にしてる様子からして、かなり前から張ってたみたいだけど同情のカケラもない。
「わざわざ待ち伏せしてるなんてご苦労さま」
自分でも驚くほど冷たい声が口から出る。
リサはビクッと肩を震わせて後ずさり。
だけど引けない理由があるのか、口を開いた。
「ねえ、何かの間違いだよね」
「何が?」
「……家に、情報開示請求が届いて」
「ああ、やっぱりリサだったんだ」
リサの実家に届いたのはおそらく『発信者情報開示請求に係る意見照会書』。
ネットの掲示板で風夏ちゃんを中傷していた人物の個人情報を開示するために、発信者本人に送られる書類。
情報を公開することを拒否することもできるけど、つい最近まで誹謗中傷の投稿をしてたから身元を割り当てるのは簡単だ。
そう思っていたのに自分から来るなんて。
切羽詰ってるか、よほど愚かなのかのどっちかだ。