辺りが暗くなってイルミネーションが点灯し始めた。

風夏ちゃんは来た時よりはしゃいで楽しそう。

暗いからその顔を撮れないのが残念だけど、嬉しそうだからよしとしておく。



「春臣くん、今日は連れてきてくれてありがとうございます」



風夏ちゃんは不意に深々と頭を下げて、それから顔を上げて笑った。

感謝を忘れない、そんな律儀なところも好き。



「こちらこそ、いろんな風夏ちゃんが見られて楽しかった」

「……」



いろんな風夏ちゃん、と言うと黙ってしまった。

少しいじめ過ぎた?



「風夏ちゃん、好きだよ」

「……これ以上、何を求めてるんですか」

「なんだろうね、俺も分からないけど伝えたかった」



謝らなきゃいけない場面なのは分かってる。

けどかわいいと思う気持ちが先行して好きだと伝えた。



「ああでも、ひとつだけ風夏ちゃんに求めるものがある」

「なんですか?」

「これからも変わらず俺のこと好きでいて」

「……うーん、どうしよっかな」



割と真剣に告白したのに風夏ちゃんは腕を組んで目をつぶる。

だけど次の瞬間、パッと目を開けて抱きついてきた。



「嘘ですよ、当たり前じゃないですか!」



いたずらっぽくて、だけどどこか清々しい笑顔。

予想できないかわいらしさに参って、さすがに「かわいい……」と声に出た。