「風夏ちゃん、機嫌直して」



あーあ、やりすぎた。

風夏ちゃんは完全にいじけてしまって俺と距離をとって歩く。

人目を気にしてたみたいだけど、前後に誰も乗ってなかったから大丈夫だと思った。

それでも嫌だったらしく口をとんがらせて俺を睨む。

アヒルみたいでかわいい、なんてからかったら今度こそ許してもらえない気がしたから、トイレに行くといってその場を離れた。



「調子乗りすぎた、ごめんね?」

「そうやって食べ物をちらつかせば私が許すと思ってるんですね、ずるいです!」



トイレに行くと言ってクレープを買ってきた。

さっそく風夏ちゃんの視線はクレープに注がれている。



「チョコバナナといちご、どっちがいい?」

「チョコバナナで!」

「はは、即答……」

「もう、笑わないでください。春臣くんがそんなおいしそうなもの持ってくるのがいけないんですよ」



怒りながら目がキラキラしている。

矛盾してる表情すらかわいい。

風夏ちゃんなクレープを受け取るとがぶりとひと口。

勢いよく食べたから鼻に生クリームがついている。

……そういうところがずるいんだって。



「風夏ちゃん、本当にかわいいね」

「え、なんで撮ったんですか?」

「鼻にクリームつけてる」

「やだ、撮らないで言ってくださいよ!」



たまらず笑ってその姿を撮影した。

いいリアクションをする風夏ちゃんがかわいくて「新しいホーム画面で使わせてもらう」と宣言するともっと慌ててかわいかった。