君がかわいいと言うから

『許して欲しかったら一緒に観覧車に乗ってください!』



そう言われて2人で観覧車に乗ることにした。

風夏ちゃんは「この前観覧車乗れなかったから」と景色を見て楽しそう。

……あれ、本当に目的はそれだけ?

真意を知りたくて向かい合わせで座っていた状態から隣に移動した。



「……なんですか?」



少し緊張気味の風夏ちゃん。

付き合って結構経つのに、慣れてない感じがどうしようもなく愛しい。



「かわいいから困らせたいんだよね」

「そ、それはどういうことですか?」

「言葉のまま」



笑いかけて不意打ちでキスをした。

風夏ちゃんを目を丸くして俺から距離をとる。



「っ、やめてください。人が見てるかもしれないのに」

「顔真っ赤だから説得力ないって」

「嫌いになりますよ」

「俺のこと、本気で嫌いになれる?」



こう聞くとだいたい『嫌いになるわけないでしょ』みたいな回答が帰ってくる。

だけど、風夏ちゃんはムッと唇をとがらせた。



「春臣くんだって、私に嫌われたら立ち直れないくせに」

「……へえ、そういうこと言うんだ」



予想外の回答に胸が高鳴る。

ああ、やっと分かった。

思い通りにいかないところが好きなんだ。

流されないでちゃんと自分があって、それでいて俺をまっすぐ見てくれる。

俺はたぶん、それが羨ましいんだ。



「春臣くんがいじわるだから私もいじわるになります!」

「残念だけど煽ってるだけだから」

「なんで!?」



宣言した風夏ちゃんはいじけてしまったけど、衝動を抑えることはできなかった。

風夏ちゃんの腕を掴んで逃げ場をなくす。

それから自分が満足いくまで抱きしめてキスをした。