君がかわいいと言うから

正直、こんなに他人を好きになれるとは思ってなかった。

いつもどこかで線を引いていたのに、風夏ちゃんにはそれができない。



「この辺全部夜になったら光るのかなぁ……楽しみですね、春臣くん!」

「寒くない?」

「はい、大丈夫です!」



俺を見上げて満面の笑みの風夏ちゃん。

頬の赤みが引かない。もしかして寒い?



「顔、真っ赤になってる」

「えへへ、春臣くんの手あったかい」



安心したように笑う風夏ちゃんがかわいい。

そういう表情、全部俺にだけ見せて欲しい。

知らないうちに芽生えた独占欲が理性を蝕む。

早く身も心も、すべて俺で満たしたい。



「……どうかしました?」



笑顔の裏に潜む本音。

これまで誰もそれを見抜けなかったのに、風夏ちゃんだけはそれに勘づくのはなぜなのか。



「なんでもない」



試しに得意の愛想笑いを浮かべると風夏ちゃんはぷくっと頬を膨らませる。

どうやら怒ってるつもりらしい。

ひたすらかわいいから無意味だけど。



「そんな愛想笑いが私に通用すると思いますか」

「思ってないけど、どういう反応するかなって楽しんでる」

「楽しまないでください、私が不安になるだけです。
仕返しに今度私も同じことしますから」

「それはやだ」

「……今日の春臣くんはいじわるですね」



不安にはさせたくないけど、これでもかなり自分をさらけ出してるから許してほしい。

けどに嫌われたくないから「ごめんね?」と謝ってそっと手を繋いだ。