side 春臣



今年のクリスマスは風夏ちゃんとイルミネーションを観に行くことにした。

以前風夏ちゃんと来た遊園地が、冬場はイルミネーションに力を入れてるって聞いたから俺から提案した。

満面の笑みでもちろん行きたいと言ってくれたから、昼過ぎから遊園地に向かった。

今日の風夏ちゃんは髪をふわふわに巻いて、もこもこのニットを着ている。

トイプードルみたいにかわいくて撫で回したい。



「わー、人が多い。クリスマスだから?」



遊園地に着くと、風夏ちゃんは目を輝かせて周りを見渡す。

キョロキョロする仕草がますます犬っぽくてかわいすぎる。

こっそり後ろから動画を撮っていたら突然こっちに振り向いた。



「春臣くん、夜までどうします?寒いけどジェットコースター乗っちゃいます?……あっ」



俺がスマホを向けてることに気がついてポーズを取る風夏ちゃん。

……ん?写真だと思ってる?



「これ動画だよ」

「やだ、はずかしい!」



恥ずかしいと言いながら俺がいる方に走ってきて腕にきゅっと掴まってきた。

くっついて顔をマフラーにうずめてるけど、よく見ると顔を赤くして恥ずかしそう。

……はあ、こういう予測できない愛らしさには弱いからやめてほしい。