「どうしよう……」



時刻は午後9時。

私はスマホを片手に部屋の中をウロウロしている。

だって秋華が勝手に送ったとはいえ、春臣さんと電話をする約束をしてしまったから。

友達との電話は緊張しないのに、なんで男の人と電話するのってこんなドキドキするの?



「……え、手汗やばっ」



緊張のあまりスマホがじっとり濡れてしまった。

やだ恥ずかしい!

急いでティッシュでふきふきしていたら通知音が鳴った。



──今からかけて大丈夫?──



春臣さんだ!私はアプリを開いて「大丈夫です」の文字とかわいいスタンプを送った。

すぐ既読がついて通話の画面に切り替わる。

うぅ、緊張するなぁ。私は震える手で通話に応じた。