「ハルオミ、今からさらにかっこよくなるよ」



私に話しかけながら、ハンガーラックを転がして移動させている。

それにしても、春臣くんが着る量にしては多い気が……。



「そうなんですね、楽しみです!
あの、ちなみに今は何を?」

「天気がいいから移動販売しようと思って」



へえ、撮影兼ねて移動販売か。

確かに撮影してたらだいたい人が集まるし、頭いい。



「レジャーシート広げます?」

「ああ、ありがとう。気が利くね〜」



2つのハンガーラックを転がす朔さんが大変そうだなと思って声をかけたら褒められた。

単純な私は嬉しくなって、張り切って移動販売の準備を一緒にした。



「ハルオミのおかげでウチのブランド有名になったからマジで救世主」

「そうだったんですね、さすが春臣くん」

「キミこそそんなハルオミを射止めるなんてやるじゃん。どうやったの?」

「いや、私は食べることが好きな普通の女子高生です〜」

「うん、ホントに普通でびっくりした」



それまで笑ってた朔さんが急に真顔になって私を普通だと評価する。

え、何?私じゃ春臣くんに釣り合わないって言いたいのかな。