朔さんと呼ばれた人は持っていたバックを開け、一眼レフを取り出してレンズを装着した後首にかけた。



「……オーナー自ら撮られるんですね」

「そうそう、経費削減。もともと写真撮るの得意だったから」



愛嬌のあるお顔に気を許して声をかけたら気軽に答えてくれた。

ということは、もう1人の男性はヘアメイクさんかな。

持ってた工具箱を開けるとたくさんのメイク道具が。

すごい、職人って感じがしてかっこいい。



「朔さん、車の鍵ください」

「はーい」



ヘアメイクさんにいろいろ整えてもらうために鍵を借りる。

春臣くんはその人に連れられ、近くに停まっていたキャンピングカーのような車に乗り込む。

今から車の中でメイクとかしてくるのかな、もっと素敵になられたら困るんだけど。

その間に朔さんは車から衣装をたくさん持ってきて折りたたみ式のハンガーラックにかけていた。

すると、不意に朔さんと目が合った。