君がかわいいと言うから

何とか自分で買っていざ映画へ。

今日は春臣くんが観たいって言ってたアクション映画。

実は私も観たかった映画だからすっごい楽しみ。



「風夏ちゃん」

「ん?って、なんで撮ったんですか!」



シアタールームに着いて席に座ったら、ポップコーンを抱える姿をスマホで撮られた。

たまにこうやって読めない行動するんだよね、春臣くんって。



「新しいホーム画面にしようと思って」

「え、待ってください。新しいホーム画面ってことは、今は?」



春臣くんはふふんと鼻で笑って画面を見せてきた。

ちょっと待って、予想はしてたけど……これ私じゃん!

しかもメイド服着てるやつ!……待って、いつ撮ったの!?



「やだ、これは恥ずかしいです!まだポップコーンのほうがマシ!早く変えてください」



小声で必死に訴えたら春臣くんはなぜかご満悦。

恥ずかしがる私を見て嬉しそう。



「あー、かわいい」

「今日の春臣くん、ちょっと性格悪いです」

「ごめんね、だって風夏ちゃんのリアクション見たくて」

「全然反省してない。私、怒りました!
だったら私も、今から春臣くんの隠し撮りフォルダから選抜するので話しかけないでください」

「ふふ、かわいい……しんどい」



怒った演技をしてぷいっと顔を背けたら、春臣くんは片手で口元を覆って笑いだした。

笑いすぎて肩が震えてる。

そんなにおもしろい?

ちょっと複雑だけど、春臣くんに笑われるのは悪くないと思った。