君がかわいいと言うから

「いい加減にしろよ」



春臣くんが私を守るように前に立つ。



「だってほんとのことじゃん。
リサよりかわいくないよ？隣歩いてて恥ずかしくない？」



しかしリサはさらに煽る。だけど私がまったく傷ついてない姿を見て眉間にしわを寄せた。

この人、何が目的なんだろ。

復縁したいんだとしたらやり方が下手くそすぎる。



「今の彼女じゃ不満多そう。はるくん大丈夫？」



綺麗な顔から信じられない言葉がポンポン飛び出てくる。

本当にこんな悪女いるんだ。

当事者のはずなのに、どこか他人事だった。



「不満じゃないけど……風夏ちゃんと付き合ってから何度かリサのこと思い出した」



だけど、春臣くんの言葉に不安を覚える。

……分かってた、こんな綺麗な人の後に私なんかと付き合ったら物足りないよね。



「え、思い出してくれたの？嬉しい」



リサは嬉しそうに笑顔を作って春臣くんの言葉を待つ。



「俺、リサのこと好きでもなんでもなかったって」

「は？」



しかし、春臣くんにそう言われてぽかんと口を開けた。

春臣くんは不安がる私に向けて優しい笑顔を向ける。

小さな不安は大きな安心感に変わった。