甘い香りが近づいてきて、すぐ近くで女の子の甘い声が聞こえた。

誰？そう思って周りを見渡すと、1人の女性が春臣くんの腕に抱きついた。



「……え？」



思わず声が出ちゃった。

え、誰？なんで普通に春臣くんの腕に抱きついてんの？

まさか……浮気！？不安になって春臣くんの顔を見上げると、春臣くんは見たことのない顔をしていた。

眉を寄せて冷たい表情でその人を見下ろしている。

私はなんとなく察した。

もしかして……元カノ？



「……離して」



抑揚のない低い声。私に向けられたものじゃないのに少し怖かった。

でも、離そうとした手を強く握ってくれて私はここに居ていいんだって実感した。



「ねえ、その子が新しい彼女？」



めげずに春臣くんに話しかける女の人。

そっと顔を覗いたら、目を見張るくらいの美人だった。

手入れされた綺麗な長い髪が目の前で揺れる。

小顔で色白な綺麗な肌、笑顔が素敵な整った顔立ち。

見た目は上品なお嬢様みたい。