「春臣くん、ごちそうさまでした!」

「こちらこそ。幸せそうな風夏ちゃんが見られて満足した」



ホテル内の立体駐車場の中。

改めてお礼を言って、春臣くんは帰るために車にエンジンをかけようとする。



「楽しい時間ってあっという間ですね……」



なんだか帰りたくなくてとっさに声をかけると、春臣くんは動きを止める。



「どうしたの?」

「あの、なんだか……さみしいなと思って」

「……」

「春臣くん?」

「……あのさ、なんで今そんなこと言うの?」



春臣くんの目つきが変わった。

身を乗り出して少し乱暴に唇を奪うと、後頭部を押さえて逃げられないようにする。



「んんっ……」

「ダーメ、逃げない」



ぐっと押し広げられて舌を入れられる。

春臣くんがデザートに食べてたシャーベットの風味が鼻から抜ける。

ああ、また春臣くんのペースに飲まれちゃう。