君がかわいいと言うから

自分のクラスに向かうと、人だかりができていた。

その中心には……やっぱり春臣くんが。



「あ、風夏ちゃん」



春臣くんは相変わらず爽やかな笑顔で手を振ってくれる。

しかし、その隣に別の男の人がいることに気がついた。

気だるげな黒髪のイケメン……あれ、村田さんじゃん!



「ねえ、どっちが彼氏!?」



クラスの女子が大興奮で私の肩を掴んで質問してきた。

変な感じ、今まで私がそういう質問する側の人間だったのに。



「爽やかイケメンの方です」

「ほんとなんだ!……ごめん、実物見るまで嘘だと思ってた」



素直に謝ってくれたその子に笑いかける。

分かるよ、私もやっと実感し始めたくらいだから。

そもそも、こんなイケメン実在するんだって思ったくらいだし。



「春臣くん、来たんですね」

「風夏ちゃんおつかれさま。これ差し入れ」



春臣くんは騒がれるのに慣れてるのか、普通に話しかけてきて紙袋を渡してくれた。

中を覗くと、ペットボトルのコーラと私が好きな洋菓子店のお菓子が。



「ありがとうございます!」

「こちらこそ忙しいのにわざわざ出てきてもらってありがとう。午後も頑張って」



春臣くんは惚れ惚れする笑顔で私の頭を優しくなでる。

すると周りから「きゃあっ」と黄色い歓声が上がった。

……見られてるとやりずらい。