君がかわいいと言うから

「そうだよ、噂のイケメン彼氏に見せたらよかったのに」



ほかの子も便乗して来たけど、今更仕方ない。



「他の人に見られるのが嫌だって」

「あー、そういうこと」

「てか今日来るの?そのイケメン彼氏!」

「……分かんない」

「見たい見たい!来たら教えてね!」



みんなメイクばっちりだし、かわいいから来て欲しくないなあ。



「絶対来るでしょ、春臣さん」

「いや、私ずっと家庭科室いるし会えないかもって言ったから」



だから春臣くんには来ないで欲しいと遠回りに伝えたんだけど、どうなることやら。

とりあえず、開始1時間前だから作業に取りかからないと。



「クレープあと何枚?」

「今175だから、あと25枚」

「おっけ、なんとかなりそうだね。パンケーキはどんな感じ?」

「あと50枚……風夏ちゃん手伝って〜」

「よし来た!」



家庭科室はすでに戦場。

10人体制でカフェメニューに挑んでるけど、慣れない作業だからみんなてんてこ舞いになってる。

メニュー展開はクレープとパンケーキで6種類。

盛り付けは楽だけど下準備が大変。

それから怒涛の勢いで頑張って、なんとか開場10分前に終わった。