「ここまで来たら大丈夫です、ありがとうございました」



自宅があるマンションの近くまで送ってもらった私は、春臣さんに深く頭を下げた



「こちらこそ。お礼したいから、予定が空いてる日にどこに行きたいか教えてね」



惚れ惚れするような笑顔で手を振る春臣さん。

うっ、やっぱりイケメンの笑顔って胸が苦しくなって直視できない。

でも言いたいことがあるから顔を合わせなきゃ。



「は、春臣さん」

「ん?」

「私、おいしいハンバーグが食べに行きたいです!」



恥ずかしくなって早口で言うと、春臣さんはぽかんとした顔で私を見る。

しまった、今の発言子どもっぽかったよね。

しかも食い意地張ってるって思われたかも!



「ははっ、真っ赤な顔でどうしたのかと思ったら、かわいいなぁ。
分かった、考えておくから楽しみにしてて」



焦って発言を取り消そうとしたけど、その前に春臣さんが吹き出して笑った。

……しかも、またかわいいって。



「じゃあね、風夏ちゃん。今日は本当にありがとう」

「いいえ、人間困った時はお互い様です。
それではお気をつけて」



ドキドキしてる胸を押さえて春臣さんと別れた。

帰途についた彼は、後ろ姿までかっこよかった。