「大丈夫?」

「何が?」

「あの子たちの目、節穴?風夏はかわいいし」

「まあ、春臣くんの歴代彼女はみんな美人らしいから、あのふたりが言いたいことはなんとなく分かる」



冷静に分析してたら秋華が顔を覗き込んできた。

ん?なんか変なこと言った?

そんなことより秋華、まつ毛長っ。



「風夏ってさ、割とメンタル強いよね」

「そう?」

「普通もうちょっとヘコむよ。無理はしてない?」

「あれくらい全然。そこだけは最低最悪の元カレに感謝しないとね」



元カレは最低だったけど、そのおかげで『あいつに比べればぬるいな』って思えるようになった。

ちょっとやそっとでへこたれなくなったのは唯一の利点。

もちろん、秋華を始めとして私を認めてくれる人が周りにいるから平気なわけだけど。



「てか春臣さん、風夏にぞっこんじゃん。
まあ、胃袋掴まれちゃ仕方ないよね〜」

「こればっかりはお父さんに感謝しなきゃ」

「風夏のお父さん料理人だもんね。
いいなー、ウチのパパなんてインスタントラーメンしか作れないし」

「秋華のパパはDIYできるからそっちの方がすごいよ!」



さっきの2人にも言われた「いいな」って言葉。

でも、秋華が言われたら悪い気がしない。

ちょっと嫌な気分になったけど、秋華のおかげでいい方向に上書きされた。

……秋華が私の友達でいてくれてよかった。