side 春臣



なんでも器用にこなしていたつもりだった。

物心ついた時から家にひとり。家事も勉強も、特に誰に教わることなくできていた。

笑ってると人が寄ってきたし、孤独を埋める手段はいくらでもあった。

だけどずっと満たされなくて。


それが一体何なのか、分からなくなった頃に風夏ちゃんに出会った。

初めから弱みを見せてしまった相手だから、かなり気を許していた自覚があった。

けど、こんな形で暴かれるなんて。



『風夏ちゃんに何が分かる?』



そう言いかけてやめた。

分かってる、反発したくなるのは図星だから。