「春臣くん」

「何?」

「さみしいなら、言葉にしてください」



そう言うと春臣くんは身体を起こして私の目を見つめる。

小刻みに震える瞳。……ほら、図星だった。

我慢することが当たり前だったから歪んでしまったんだ。

だから不満を性欲に当てることで孤独を紛らわしてた。

でも、肝心の相手である親に、さみしいって言えなかったんだ。



「そういう行為で孤独を埋めても、根本は解決しません」



誰も自分の気持ちに気づくわけない。

そう思ってたから孤独を埋める相手は誰でもよかったんだ。

たとえ自分が利用されてると分かっていても。



「これまでに、相談できる人はいましたか?
ずっと独りで抱えてきたんじゃないですか?」

「……」



そんな春臣くんが心配で、つい言葉に出てしまった。

私の問いかけに春臣くんは一度口を開きかけたけど、押し黙ってしまった。

……嫌われたかもしれない。

でも、誰かが言わないと春臣くんは不安定なままだ。

言ってしまったから仕方ない。

もうどうにでもなれ!と強気に春臣くんの瞳を見つめた。