「それ、陽太さんにもらったんだ」

「あー、なるほど。お店にも置いてますもんね」

「あのお店のご飯、おいしいよね。
たまにここに作りに来てくれて……懐かしいな」



そっか、陽太さんと春臣くんは親戚だった。

喫茶店のマスターが作る料理は絶品だろうな。

それはちょっと羨ましい。



「あ、座っていいよ」

「はい、ありがとうございます」



ソファーに座ると春臣くんはテレビをつける。

自分の部屋にもテレビあるんだ、いいな。

すると春臣くんは私の隣に腰を下ろした。

緊張して慣れなくて、腰を浮かして少し距離をとる。



「なんか、意識してる?」

「当たり前です、好きな人の部屋は緊張します」

「……かわいい」



緊張すると伝えただけなのに、春臣くんはスイッチが入ってしまったらしい。

あごを指先で持ち上げて、顔を近づけてきた。