その時、春臣くんの吐息が耳にかかって鳥肌が立った。

公園での出来事がフラッシュバックして耳が熱くなる。



「ち、ちなみに私が料理ができるのは、お父さんが料理人だからです!
結婚式場のレストランで働いてます」



そう言いながら春臣くんの腕から抜け出して、小麦粉を探す。



「え、そうだったんだ。すごいね」

「はい、家でもたまにご飯作ってくれるんです」

「お母さんも料理するの?」

「お母さんは和食なら作るかな……でもあんまりキッチンには立ちませんね。
逆にお父さんに作らせてます」



小麦粉を発見したので、火を止めた鍋にふるって入れる。

春臣くんはそれをまじまじと見つめていた。