今日は春臣くんの家のキッチンを借りて料理をする。

リクエストをもらったから今日はグラタンを作る予定。

材料は(あらかじ)め春臣くんに買ってもらっていた。

それにしても……キッチン広っ。

さすが高級住宅街に持ち家がある家庭だ。

広いキッチン最高!

むふふと笑いながら準備を進めていく。



「こんな料理上手な彼女初めて」



切った玉ねぎと鶏肉を炒めていると、春臣くんが後ろから抱きついてきた。

うーん、褒めてくれてるんだろうけど。

ほかの女の子の影を感じてモヤモヤ。

いや、イケメンだからモテて当たり前だけど。



「風夏ちゃん?」

「……他の人とも、こうやってご飯作ってたんですか?」

「安心して。家に上げたのは風夏ちゃんが初めて」

「え、2年も付き合った彼女いたのに?」

「だいたい向こうの家行ってた。あと、その時は両親が毎日帰ってきてたし」



なかなか単純な私は、家に上げたのが初めてと聞いただけで機嫌が直った。

へー、意外。とっくの昔にこのオシャレな家に女の子招待してると思ったのに。