否定したはずが煽ったという判断をされた。

ぬる、知らない感覚がして春臣くんの舌が口内に侵入してきたのが分かった。

それによって口をこじ開けられて好き勝手に動かれる。



「や、んんっ……」

「だーめ、口開けて」



……こんな感覚、知らない。

奇妙な感覚より恐怖心が勝って、春臣くんの身体をぐっと押し返した。



「……ギブアップ?」

「誰か来たらどうするんですか」

「誰も来なかったら続けていいの?」

「そういう問題じゃ……」

「じゃあこれでおしまい」



春臣くんは何食わぬ顔で耳を甘噛みしてきた。

「ひっ……」とみっともない声を出すも春臣くんは満足そうな笑顔。



「家まで送るよ、風夏ちゃん」



さっきとは別人みたい。

え、そんな簡単に切り替えられるものなの?

……やっぱり春臣くんのこと、分からないことが多いよ!