俺は得体の知れない喋るビー玉を持っているため、ソワソワしながら出かけた。
🦇「そんなに気にしなくても大丈夫だよ!むしろソワソワしてる方が怪しまれるよ?」
🕒「…誰のせいでソワソワしてると思ってる、それにこんな街中で喋るんじゃない、誰かに見られたらどうする。」
🦇「ごめんごめんって!でも!」
🕒「いいから、大人しくしていてくれ」
🦇「むー」
🕒「はぁ…今からファミレスはいるから絶対に大人しくしていてくれよ」
🦇「はーい」
俺はとにかく、早く済ませて頭を整理して、これが夢であることを証明しようと思い近くよファミレスに入った。

«数分後»

会計を済ませて俺はファミレスを出た。
🦇「いやー楽しかったね!」
🕒「ちっとも楽しくねーよ」
俺は疲れきって溜息をつきながら小声で話した。
🦇「ごめんって!つい興奮しちゃって!」
🕒「何が興奮しちゃってだ、めちゃくちゃ焦ったんだからな?メニュー表開いた途端あれこれ頼みやがって、俺が喋ってないのに注文してるみたいで焦ったんだからな?」
🦇「だって美味しそうなんだもん、それに君が…」
🕒「言い訳はいいよ、別に頼んだのは構わないけど、その姿だと食べれないだろ?とりあえずあまりは持ち帰りにしてみたが、これどうするんだ?」
🦇「うーん、明日のお弁当?」
🕒「ふざけないでくれ」
俺はビー玉と話すことに夢中で周りのことなんて見ていなかった。
別に誰も俺の事気にしている様子はなかったからだ。
でもその様子に疑問を持たなかったせいで、このあと何が起こるのか俺は予想すらしなかった。

俺はビー玉と喋りながら夜の人気のない公園を通り近道をすることにした。
すると後ろから不意に声をかけられた。
🏹「ねぇ君」
🕒「!?」
突然後ろから声をかけられたので、慌てて振り返る。この公演には俺と声をかけた青年しかいなかったので、誰に声をかけてるのかなんて小学生でも分かった。
🕒「お、俺ですか?」
🏹「ん?ふふっ、おかしなことを言うね、ぼくときみ以外に誰がこの公園にいるんだい?」
🕒「あはは、そうですよね。俺何か用ですか?」
🏹「いや?さっきからずっとその鞄と会話していたから、どうかしたのかなって思って」
🕒「あ、いえ、俺結構変人だから、時々独り言が激しくなっちゃうんですよ」
🏹「嘘はやめなよ、君…僕と同じ悪魔使いでしょ?」
🕒「えっ?」
🏹「でもまぁ…そのどこも変化のない様子からまだ未契約みたいだね」
🕒「いったいなんの…」
🏹「単刀直入にいうね、その悪魔…僕に譲ってくれないかな?」
🕒「えーっと、あ!もしかしてそういう系の方ですか?僕はそういう方ではないので、話が噛み合わなくて、なんか…すみません」
🏹「ん?もしかしてオタクか厨二病だと思ってる?言っておくけど全部ほんとの事だよ?」
🕒「あはは、あなたの中ではそうかもしれませんが、じゃぁそろそろ失礼して…」
🏹「信じてないなら、実際に見せてあげる」
🕒「へっ?」
青年は何かを引っ張る体制になる。
俺はおかしな行動をしている彼にそういう設定なのか?とおもいながら帰ろうとすると突然ビー玉が叫んだ。
🦇「危ない!避けて!」
🕒「はっ!」
俺は咄嗟のことにしゃがんでかわしたが、その時頭の上をもの凄い速さで何かが飛んだようだ風がふいた。
俺はゆっくり目を開けて前を見ると俺の目の前の木に十字架の形のような矢が刺さっていた。
ハッとして振り返ると青年は変わった形の弓とさっきの矢を構えていた。
俺は直感でここにいてはまずいと思い逃げようとしたが、足に何かが絡みついた。
🕒「…ん、なんだ…って!うわぁ!」
絡みついてきたのは木の根やツルだった。
🏹「もーにげないでよ、君が大人しくければ何もしないから」
身動きが取れない俺に彼は近寄ってきて話しかける。
🏹「そんなに驚かないで、最初に言ったでしょ?僕の言ってることは本当だって、その証拠、これは僕の契約魔がくれた力で現物は弓矢なんだけど、力は催眠術なんだ。この矢が刺さった者は意識がなくても物体さえあれば自己催眠で自由に形を変えられる。もちろん、対象が人間だった場合自殺させることだってできるんだよ」
🕒「い、一体何者なんだあんたは」
🏹「さっきから言ってるでしょ、悪魔使いだって。」
🕒「悪魔使い…」
🏹「さて、何も知らなくてもここまで説明すれば頭の良さそうな君なら何をするのが正しい行動か、わかるよね?」
🕒「……っ、」
🏹「もう一度だけ言うよ?君の悪魔、僕に譲って?」
🕒「………らん」
🏹「え?もっと大きな声で言ってくれないかな?」
🕒「悪魔とか契約とか俺には全く心当たりがない。本当だ、だから早く離してくれ。」
🏹「………ふっ、ふふ、あっははははははは」
俺は彼の狂ったような目と笑い声に恐怖を覚えた。
俺の中では、狂ったような笑い声を上げる連中は、怒りの感情を持った連中と同じで過去にトラウマがあるからだ。
🕒「・・・なに?そんなに怖いの?あれだけ堂々と嘘ついてるのに?おっかしいな」
🕒(くそ…こんな時に薬が)
俺は恐怖のあまり声が出せなくなった。
🏹「あはは、随分笑わせてもらったよ。でも君は僕の忠告と交渉を無視した。死んでもらうね?」
青年は微笑みながら再び構えると俺に矢を向け放った。
俺は死を覚悟した。元々死ぬことが俺の願いでもあったからやっと死ねると思うと願ったり叶ったりだった。でも何故か怖かった。
あれだけ死を望んでいたのに、いざ死が目の前にあるとなると、怖くて生きたくて仕方なかった。
俺は頭の中でそんなことをぐるぐる考えていると、いつの間にか走馬灯を見ていた。
俺は昔から地獄のような生活を送っていたけど、優しさを忘れずにいた。
いじめられている子がいたら助けて、財布を盗まれたら取り返してきた。
でも、周りはそんな俺を否定してきた。何が正しくて何が間違いかなんてもう分からない。
そんな走馬灯を見ていると、気づいたら俺の目の前には同い年くらいのフードを被った男がたっていた。
◆「はいそこまでね!」
男はそう言うと、俺に向かって飛んできた矢をハートの鏡のようなもので吸い込んで受け止めた。
俺もあの青年も驚いた。