私は気になる

別に好きなわけではない

どちらかというと苦手だ

隣のクラスのあの人。

背が高くて

女子が羨む綺麗な足

キリッとした目

運動神経抜群

成績もまあまあ優秀

なぜ苦手かって?



——あれは一週間前の出来事



3限 体育の時間


「まり〜!いっくよ〜!!」
    

元気よく響く彩の声


「よっしゃ!こいやあ!」


負けじと響く私の声

やっぱ体育は楽しい 球技に限るけど…

だいぶ高校生活にも慣れてきて

毎日楽しく過ごせている

そんなことを考えながらキャッチボールをしていた


「あ!ごめん!そっち行った!」


彩の投げたボールが右に外れて転がっていった


「取ってくるから待ってて!」


遠くまで転がっていくボールを私は追いかけた

コツン…


「あっ、すみません」


通りすがりの誰かの足にボールが当たり、私はすぐ謝る

その人は拾ってくれる気配もなく、ただただ足に当たったボールを眺めている

意地悪だなと少し思いつつ私はしゃがみボールを取った


「……」


謎の沈黙が続いた 


「何?」


第一声、 何? 

なんだこの人は… 無愛想で冷たくて先輩なのかな


先輩だとしても先輩と思いたくない


「…すいませんでした!!!!!」


私は、嫌味たらしく言葉を吐き捨てその場をさった