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「Amazing grace…」


いつも通り小さな声で、綺梨は歌う。これは毎日の日課。


「How sweet the sound…」


悲しい時苦しい時、歌が支えになっていた。


自分の歌は、人を救う。人の涙を乾かすことができる。

だから、歌うんだよ。


「アイツ、また歌ってるよ」


人を救う為に歌っているのに、いつからウザがられているんだろう…。


いつの間にか、周りからウザいと言われるようになった。また今日だって。


「歌ってばっか、ウザいよね」


もう慣れた。

でも、どんなに言われたって自分の生きがいだからやめたくはない。


だから、みんなウザいなんて言わないでよ…。