≫since vor.3
街にはたくさんの声が溢れている。
そしてたくさんの人達で埋め尽くされ、それぞれの思いを持っている。
「本当に申し訳ありません!」
「だから言ったろう! ったくお前は……」
朝、学校に向かおうとすると、眼鏡のサラリーマンが上司に頭をペコペコ下げてる。
でも雰囲気からして、その眼鏡の人より上司さんのが悪いんやないかな?
「契約潰れたのはお前のせいだろバーカ」
……あたしの声じゃない。
でも、思ってたことは一緒。
――あいつ、か。
「今に見てれば?」
その人、大器晩成型だから。
あたしはそう一言上司さんに告げて、さっき前を通り過ぎたクラスメイトに続いた。
ホント、今に見てなよ。
別に絶対じゃないけど、見るからに眼鏡の人のほうが頭がキレるし、細かいことにも気がつきそう。
今の悔しさを糧にしそうだし。
「なんだ、あの子供……?」
何言われたって平気。
自分の思いが出せる分、気楽だ。
――心は皆変わりやすいけど、なかなか変えられないものがある。
それは、人の“本質”。
どれだけ人格が崩れようと、元のものは失われたりしない。
――だから、嫌なんだよ。
「わかんなきゃいいのに」
そう、こんなの気づきたくない。
嘘か真かもわかってしまうから。
この勘、この洞察力。
「消えちゃえばいーのに……」
