お祭りになると、セールの時よりも商品が安くなる。そのため、普段は買えないような高価なものもお祭りでは簡単に手に入れられるのだ。

「お小遣い、奮発しちゃったかも」

ノエルが刺繍が施された財布の中身を見る。紙幣や硬貨は残りわずかだ。お金がなくなれば家に帰るしかない。

「私もあと少ししかないな……。でも、とっても楽しい!」

そう言うキキに、ノエルは「来年も絶対来ようね」と微笑む。キキは「う〜ん……。どうだろう……」と首を傾げた。

「もし彼氏がお互いにできたら、彼氏とデートじゃない?」

「そうかも!だったら、ダブルデートしたらいいんじゃない?」

笑い合い、ノエルはガレットを頬張る。そして、ミルクのいちごジンジャーカプチーノに口をつけた。生姜が入っているため甘すぎず、フルーティーなカプチーノだ。

「私もそっちにしたらよかったかも」

キキがそう言ってコーヒーに口をつける。ノエルは「飲む?」とカプチーノを渡す。一口飲んだキキは、「おいしい!」と笑う。