「楽しみだな〜……」

そう言いはしゃぐキキの横顔を見て、ノエルも「うん!」と頷く。キキの笑顔を見るたびにふと思い出すのはあの時のことだった。

ノエルは、あの時に悪魔のテオと契約を交わした。その内容はあまりよく覚えていないが、契約をしたおかげでキキは助かった。しかし、テオと契約をしたことは誰にも言っていない。

契約って何だったんだろう。そんなことをノエルが考えているうちに、屋台が並び、一段と賑やかさや華やかさを増した場所につく。お祭りの会場は、あちこちから人が集まっていた。

「うわぁ〜!今年もすごい盛り上がり!」

ノエルは目を輝かせ、屋台を見つめる。パンなどの食べ物を売っているものもあれば、占いをしてくれるところ、アクセサリーなどを売っているものもある。

「私、あそこ行きたい」

キキが指差したのは、おいしそうなクッキーなどを売っているところだ。有名なケーキ屋の出店でそこそこ列ができている。