テオが少女に話した条件は、驚くものだった。普通の人ならば恐れていただろう。

しかし、少女は躊躇うことなく友達を助けることを望んだ。少女にとって、友達を失うことは何よりも怖いことだったからだ。

「……お前のような人間は初めてだ」

テオはそう言い、怪我を負った少女に呪文を放つ。すると、血だらけだった友達の傷が一瞬で消えた。

「これでその友達は助かった。契約をするぞ」

テオが魔法陣を出す。少女は素早くその中に入った。テオが呪文を唱えると、赤い血のようなものが魔法陣から飛び出していく。

この日、少女は悪魔とある契約を交わした。その契約の内容は少女と悪魔以外、誰も知らない。



「ノエル〜！！起きろ〜！！」

ドシンという振動で眠っていたノエルは目を覚ます。黒髪の美少女がいたずらっ子のように笑っていた。

「おっはよ〜。今日は何の日か忘れてたりしないよね？」

チョコレート色のブラウスにクランベリー色のスカートでおしゃれをした美少女ーーーキキはノエルに笑いかける。