「……私……」

ノエルはしばらく呆然とした後、恐怖がこみ上げてきてその場に崩れ落ちる。人を殺してしまったという恐怖や、悪魔になってしまったということが、ノエルの体を震わせた。

「とんでもないことを……」

キキがノエルのそばに近づく。ノエルは震える手でキキの腕を縛る縄を解き、「私……人を殺した……!許されない……!」と泣き始めた。

「ノエル、あなたは悪くない。だって私を助けてくれたんだもん。正当防衛だよ」

キキはそう言ったが、ノエルの胸から罪悪感は拭い去れない。すると、暗闇の中からコツコツと足音が響いてきた。

「……テオ……」

顔を上げれば、あの時契約を交わした悪魔がいる。その顔はやっとこの時が来たと嬉しげだ。

「この人は?」

怯えるキキに、テオが顔を近づける。そしていたずらっ子のように言った。

「俺はテオ。こいつと契約した悪魔だ。ノエルの魂を奪いに来た」

「ど、どういう……」