「だ、大丈夫……」

ノエルはそう言い笑おうとするが、恐怖や痛みの方が強く、あふれてくるのは涙だけだ。

ノエルが涙を流すと、「メソメソしやがって!」の男性にまた殴られる。

夕暮れが、迫ってきた。

ノエルは痛みで意識を失い、目を覚ますと夜になっていた。不気味な満月が窓の外に輝いている。

「飯にしようぜ〜」

男性たちは肉やパンをテーブルの上に並べる。そして、ノエルとキキに見せつけるかのように豪快に頬張り始めた。

「こいつらの飯、どうする?」

「残飯でも食わせればいいだろ」

「ほんとは貴重な食料をやりたくねえけど、最近のガキはすぐに死ぬからな」

下品な声と、咀嚼音が部屋に響く。それがノエルにとって不快でたまらなかった。早く助けてほしい、ただそれだけだった。

「ガキ、飯だ。さっさと食え」

男性が、ノエルとキキの前に汚れた皿に入れたエビピラフを置く。キキは焦ったような顔を見せ、ノエルはすぐに口を開いた。