あなたに会えたから

 日の光が差す春の事。
 その日は桜で暖かく包まれていて。
 入学式当日、校長先生のあいさつで始まった。
「新入生のみなさん。そして保護者の方々、今日は良い天候にめぐまれて―」
 校長先生の話がおわり、次に新入生のあいさつがある。
「一年B組、赤坂真夜さんお願いします」
「はい」と言い立ち上がった。
 カメラが、私の方にむいた。
「本日はお忙しい中、ありがとうございます」
 私が礼をし顔をあげると、母は泣いていた。
 まったく、卒業式じゃないんだから。
 私、赤坂真夜。
 東京の学校で機械系の勉強をしています。
 成績はまぁまぁいい方。
 ここの学校の子達は、みんな頭が良くてつい「うらやましい」と言う言葉を出してしまう。
 こんな話をしていたら、あっと言う間に入学式が終わった。
 教室に行くと、自己紹介が始まった。
「次、私かぁ」
 そう言うと、先生が「次、赤坂」と呼んだ。
 最後の方へと進んでいくと、元気な女の子の声がした。
「はーい。次、私ねー。私の名前は星空由奈、よろしく!」
 教室のみんなが、笑っていた。
「次は、誰だろう?」
 すると、一人の男の子が立ち上がった。
「俺の名前は、田本亜月です。お願いします」
 女の子達の目の色が変わった。
 まぁ、カッコいいからね。
 見た目は、めっちゃクール。
「カッコいい」
 入学式も終わり、下校の時間になった。
「そろそろ、帰ろっかなぁ」
 帰っている途中、誰かに腕をつかまれた。
「やめっー」
 頭をあげた時。
「あっー」
 同じクラスの亜月君だった。
「あ、亜月君どうしてここに?」
「俺も、こっちなんだけど……」
 そうなんだ。
 気づかなかった。
「手、離してくれない?」
「イヤだね」