「あっ」


後片付けが終わると
ポストに届いていた手紙を思い出した

バッグの中から取り出して
ソファに腰掛けると封筒を開封する


[同窓会のお知らせ]


パソコンで作られた冷たい印字の最後に懐かしい手書きの字が飛び込んできた


「恋、元気にしてますか?
今度こそは参加してね 七海より」


生徒会副会長の隅田七海《すみだななみ》
面倒見の良い姉御肌の七海はいつもみんなの中心に居た


そのまま持ち上がりで大学まで進んだ私達だけれど

敢えて別の大学を受験して
S女を離れる子達もいるから

同窓会は必然的に高等部の集まりが多くなる

そのお知らせを見ながら
また外の雨を思い出した


高校の頃を思い出すだけで
封印したはずの気持ちが蘇ってくるようで無意識のうちに唇を噛んでいることに気付いた


あれから8年も経ったのに

雨の度にあの頃の所為にしてしまう

まだ一つも先へ進めていない自分にウンザリする

立ち上がって窓を覆うカーテンを開くと
止まない雨のしぶきが窓を濡らしていた


「雨は嫌い」


いや・・・

雨の日は好きだったはず
傘に打つかる雨の音だって

彼との相合い傘も
鈍色の空も低い雲も好きだった

それを嫌いにしたのは



「・・・・・・・・・私だ」



他ならぬ自分の所為で
鎮痛剤のお世話になるくらい雨が嫌いになってしまった