ピンポーン


絢音に二杯目のお茶を煎れていると
静かなリビングにチャイムの音が響いた

モニターを覗き込むと


・・・宙


えっと・・・どうしよう

小波とは話したけれど
絢音には・・・

モニターを見たままプチパニックになる私の横で

リビングの扉が開いた


「玄関の鍵開いてたぞ」
「キャーーーーー」
「えっ」


驚いた私より絢音の悲鳴の方が先だった


「せ、ん、ぱいっ」


ティッシュの箱を抱えたまま
立ち上がって驚愕した絢音は

「警察っ」

ハンドバッグをかき混ぜ始めた


「あ、絢音っ!ちょっと待って!
この人知り合いだからっっ!」


慌てて出した大声に
驚いた絢音は「へ?」と鳩豆顔になった


リビングの扉を開いたまま
驚いて固まっている宙も


暫し無言でいたけれど


「恋、不味いとこに来たか?」


漸く状況を飲み込んだ


「そうね・・・
いや・・・ちょうど良いから
紹介するわね」


私と宙とのやり取りを見ていた絢音の顔が訝しげに歪んだ


「先輩、色々聞かせて貰います」


いつもの甘ったるい絢音は
別人か!と突っ込みたい程
形を潜めてしまった


怖っ・・・怖いんですけど・・・


小波より長い説明を想像して
肩を落とした